21Mar
皮脂に最も多く含まれる脂肪酸は、保湿剤として化粧品にも含まれていますが、過剰になったり不足するとニキビ、乾燥、毛穴の開きなどの肌トラブルに直結してしまいます。
皮脂の分泌量と化粧品に含まれる油分の種類を把握して正しいスキンケアをすれば一歩美肌に近づけますよ。何も知らずに使ってる化粧品で油分過多になっていませんか??
前回までのおさらい
前回の記事で皮脂を構成する主な成分について説明しました。皮脂に含まれる成分の中でももっとも多いのが脂肪酸でした。
更に、皮脂に含まれる脂肪酸の主な構成要素は以下の通り。
●オレイン酸
●パルミトレイン酸
●必須脂肪酸
脂肪酸の過剰や不足は、キメがない、ニキビが出来る、毛穴が広がる、乾燥するなどの肌荒れに直結するということでしっかり押さえておきたいところです。日々のスキンケアでも脂肪酸の過剰や不足が起こっていないか注意したいですね。
代表的な保湿成分。脂肪酸の約20%を占めるオレイン酸
脂肪酸の中でも代表的保湿成分と言われるのがオレイン酸です。オレイン酸は、乾燥肌の人には少なく、オイリー肌(油性肌)の人には多い傾向にあると言われています。
最近は、オレイン酸や後から説明するパルミトレイン酸などの不飽和脂肪酸が過剰になると毛穴の開き、不全角化の要因になることが分かっており、皮脂が多い人がスキンケアに取り入れるのはおすすめしない脂肪酸です。
また、オレイン酸はアクネ菌の大好物なので、ニキビ肌の人には注意が必要です。アクネ菌は、普段はお肌を守る強い味方ですが、毛穴がつまる&皮脂が出るの両方の条件が揃うと爆発的に繁殖し炎症を起こします。
※のせ皮膚科より画像をお借りしています
皮脂の分泌過剰だけではニキビにはなりませんが、皮脂分泌の多い人は角質層の状態が悪く毛穴が詰まりやすい傾向にあるのでニキビになりやすいです。脂肪酸の偏りには注意したいですね。
私も10~20代前半までニキビとキメのない硬いビニール肌に悩みましたが、角質層の状態が良くなるとニキビは激減します。今では、あごに少し生理前にできるか?できないか?程度になりました。
一方で、乾燥肌の人はオレイン酸を補うと皮脂バランスが取れて肌の調子が良くなるので、オレイン酸を多く含むオリーブオイルの石鹸などが人気のアイテムとなっています。
私も肌が乾燥する冬場は保湿力の高い石鹸に切り替えています。石鹸もサイト内で紹介しているので参考にしてみてくださいね。
ツバキ油、欧州産ヘーゼルナッツ油、オリーブオイル、スイートアーモンド油、アボガド油、マカデミアナッツ油
オレイン酸を多く含む椿オイルは質の良いものであれば顔にも使えるし、髪との相性も良いのでおすすめです。
>>>un Tiens 福寿
●市販のシャンプーで実はボロボロ?娘の髪を救ったアンティアンの石鹸シャンプーと椿オイル「福寿」
新しい皮膚細胞の再生に欠かせないパルミトレイン酸
パルミトレイン酸は、皮脂に含まれる脂肪酸の約12%を占め、新しい皮膚細胞の再生に欠かせない材料と言われていますが、30代になると分泌量が減少していくそうです(悲)
更に、外部から保湿しすぎると皮脂分泌の機能が低下するので、スキンケアをしっかりしているほど30代付近からの影響は顕著に出てくるかもしれません。
私も、コスメが大好きで基礎化粧品をこれでもか~というほど塗っていましたが、30代を過ぎてから酷い乾燥肌&敏感肌になったのをきっかけに肌断食に近いスキンケアに切り替えた経緯があります。
パルミトレイン酸は、肌細胞の再生に関わるためアンチエイジングにもニキビなどの回復にも欠かせないとも言われる一方で注意も必要です。
オレイン酸やパルミトレイン酸などの不飽和脂肪酸は多すぎると、不全角化を招くと言われています。
不全角化とはターンオーバーが早すぎる状態のことです。十分に角質細胞が育っていないために肌の質が悪く、硬い。乾燥しやすい。キメがなくなる。ニキビができやすい。毛穴が広がるなどのトラブルにつながりやすい肌になります。
肌の再生を促すパルミトレイン酸も多すぎるのはNG。何事も適量が良いのですが、何も知らずにスキンケアをしていると偏ってしまうことも多いのです(涙)
欧米産ヘーゼルナッツ油、マカデミアナッツ油、馬油、アボガド油
細胞間脂質の材料にもなる大事な脂肪酸
次に体内では合成できない必須脂肪酸も含めた細胞間脂質の材料となる脂肪酸についてご紹介します。特に体内で合成できない必須脂肪酸は、不足しがちでありながらも美肌と健康に関わる重要な働きをしています。
皮脂に含まれる脂肪酸のうち必須脂肪酸であるオメガ3を含む以下の脂肪酸は細胞間脂質の材料になると言われています。
●リノール酸(オメガ6)
●リノレン酸(オメガ3、オメガ6)
まずリノール酸は、角質層のバリア機能と深いかかわりがあり、皮脂線の増殖を助けるなど皮膚の健康に欠かせないものです。皮脂線の増殖!?と聞くとなんだか嫌な響きがしますが、皮脂線がないのも困るのでとても大切なことですね。
リノール酸は保湿効果は高いのですが、オレイン酸より伸びが良く、軽いのが特徴です。ただし、酸化が早いので保存や使用期限に注意が必要と言われています。
月見草油、くるみ油、パンプキンシード油、ごま油、ローズヒップ油、ククイナッツ油、スイートアーモンド油
次に皮脂に含まれるリノレン酸には、αリノレン酸(オメガ3)とγリノレン酸(オメガ6)の2種類があり、肌の調節機能を保つと言われています。αリノレン酸不足はアトピー性皮膚炎の原因の1つとも言われているようです。
αリノレン酸でピンときた方もいるでしょうか??
私も愛用している亜麻仁油に多く含まれる成分です。亜麻仁油を摂取するようになってから私のお肌がワンランクアップしたのは、オメガ6やオメガ3がお肌に深く関係してるからと勝手に納得しています(*^_^*)
亜麻仁油の記事にも書いていますが、オメガ3とオメガ6はお肌の水分保持やバリアを担う細胞間脂質の材料になります。特にオメガ3は不足しがちな必須脂肪酸なので適量をしっかり摂取したいです。
リノレン酸はリノール酸よりもさらに酸化が早く、保存や使用期限に注意が必要です。
亜麻仁油(フラックスシードオイル)、えごま油、しそ油、ローズヒップ油、ククイナッツ油、パンプキンシード油、くるみ油、馬油
月見草油
化粧品にも良く配合される保湿成分グリセリン
最後に、脂肪酸と結合して△グリセリドを構成するグリセリンについて。
グリセリンは化粧品にもよく使われる保湿成分で、空気中の水分を引き寄せる性質があります。保湿力の高い石鹸をお風呂場に置いたままにするとドロドロなるのはグリセリンがお風呂場の水分を引き寄せてしまうから。
もともと、天然のオイルの中にも脂肪酸と結合した形でグリセリンが含まれているのでオイルを塗るとグリセリンの保湿力も取り入れられます。皮脂の構成に近づけるなら脂肪酸だけよりもグリセリドも含む保湿剤が理想かと思います。
お肌に塗ったオイルや皮脂にも含まれる△グリセリドは、お肌の常在菌によって脂肪酸とグリセリンに分解されて保湿剤として機能します。本当に人間の体ってよく出来ていますよね。
アクネ菌の見た目はとても愛せるものではありませんが、仲良く共存していかないと皮脂の分解もできないし、雑菌から肌を守ることもできないワケです。
余談ですが、防腐剤を使いすぎて常在菌が死滅したり、基礎化粧品に頼りきって皮脂が出にくい環境を作ってしまうとお肌の環境が壊れ上記のようなサイクルが上手く回らなくなることが懸念されています。
まとめ
皮脂の成分をしっかり理解して、自分にとって足りない成分を適度に補えば、美肌に近づくことができます。過剰になれば肌荒れを招く結果につながります。
もちろん、何もしなくても皮脂バランスを取れるのが一番ですが、メイク、寝不足、ストレス、不規則な食事をしているとそうもいかないので、必要に応じて手助けをしたら良いと思います。
●皮脂には大事な役割があり、常に適量必要である
●オイリー肌にも使えるオイルがホホバオイル
●オレイン酸は、乾燥肌に不足し、オイリー肌に多い特徴がある
●肌の再生を助けるのがパルミトレイン酸
●オレイン酸、パルミトレイン酸などの不飽和脂肪酸の過剰は肌荒れを招く
●お肌の保護力が高くオイリー肌にも使いやすいのがロウ(ワックス )
●お肌のバリア機能に深いかかわりを持ち、体内で合成出来ないのが必須脂肪酸
●天然のオイルは皮脂に近い成分を多く含んでいる
上記の内容をひとまず押さえておけば良いかな?と思います。
「オイルは肌に悪い。」と言う人がいます。確かに使い方を誤ると肌を傷めますが、それは、どんな化粧品成分も同じではないかな?と最近思います。
about meを読んでくださった方はご存じかと思いますが、私は、小学校高学年から続いた肌トラブルからスキンケアを見直すことで30代になってようやく卒業できました。
もちろん、エイジングに関する悩みは増えてきましたが、スキンケアの見直しは、何歳になってからでも遅くはないと思います。
最近では、正しくスキンケアをすれば表皮はほとんど衰えないとも言われていますし、少しでも早いタイミングで正しい知識を身につけられることが大事なのかな?と思います。
●肌荒れ&肌老化を進める原因はお肌に与え続けたダメージ
番外編:オイル美容の注意点
自然界に存在するオイルには皮脂に含まれる成分を豊富に含むものがあり、古くから美容や医学に使われてきた長い歴史を持っおり、この長~い歴史が、効果と安全性を物語っているのかな。と個人的には思っています。
オイルを使う上で気を付けないといけないのは、決して過剰にならないこと。たっぷりのオイルでマッサージなんて週に1度で十分では?と思います。
私は、メイク前に化粧水を手にとって、1滴オイルを垂らして混ぜて顔に塗っています。寝る前はよほど乾燥を感じない限り何もぬりません。顔の保湿はこれだけです。
各脂肪酸を豊富に含むオイルについても記事内で紹介してきましたが、どのオイルを使ったら良いのかわからない場合は、スキンケア用のブレンドオイルがおすすめです。このサイト内でもいくつかご紹介していくので参考にしてみてくださいね。
●category オイル
番外編2:ブレンドオイルの上手な使い方
ブレンドオイルは、いくつものオイルを混ぜて作ったものなので、脂肪酸をバランスよく取り入れることも可能です。
乾燥肌&普通肌の人は塗り過ぎに気を付けてつかえばOK。混合肌の人は皮脂分泌の多いところだけ避けるなどの工夫を。オイリー(油性)肌の人は、オイルの種類に気を付けないといけないのでブレンドオイルには注意が必要です。
参考文献>>>楽天ブックス【送料無料】シンプルスキンケア [ 前田京子(編集者) ]
参考文献>>>amazonシンプルスキンケア[ 前田京子(編集者) ]
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コメント
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γリノレン酸は、ω3系ではなく、ω6系の脂肪酸です。修正よろしくお願いします。
ご指摘ありがとうございます。
正しくは、αリノレン酸はω3。γリノレン酸はω6です。記事を修正致します。